お盆と映画☆その2

短編映画『大きな木になりたい』から。

 さて、第2回はお約束通り「シナリオの世界」についてです。シナリオについて書く前に、私の映画に関するスタンスについて言っておきたい思います。

 それは【映画とはエンターテインメントである】ということです。

 勘違いしないで欲しいのは、だからといっていわゆるアート系作品を否定しているわけではありません。まず一番大事なことが【そこに愛はあるんか?】ということです。それは観客への愛情であり、俳優やスタッフ、映画上映に携わる全ての人に対する愛情を示しています。「は? 何いうたはりますのん?」て思いますよね?宗教じゃあるまいし、いきなり「愛」ってどっかのCMみたいな台詞!って思いますよね。

 ただ、私が観客として映画館で観ていた時に、観終わって声を上げたくなった作品観終わる前から我慢強いられる作品を観た時に思うわけです。この監督は観客や作品への愛情ってないのかな?って。観客は神様だとは思いませんが、少なくともお金と時間を使って作品を観てくれる人なわけです。スタッフや役者も、その作品の為に汗を流してくれる同志です。なのに我慢を強いるって何で?と思うことがたくさん?ありました。ひどいのになると映画館にいる私以外の周りの人のほとんどが催眠術に掛かったようにイビキをかいて寝始めて、終わる頃にはイビキの大合唱というのがありました。

映画『YOSHI王-誕生編-』から。敵の髑髏会のアジトにて。

 あ、いかん。熱くなって書きすぎた。とにかく、アート系でもエンタメ系でもお金を頂いて見せるものである以上、少なくとも対価に見合うだけの満足を得て帰って頂くことが命題だと思うのです。つまり、どんな作品であれENTERTAINMENTである、というのが私のスタンスであり、屋号の「KAMUI ENTERTAINMENT」の意味だとご理解いただければと思います。

 さて、シナリオの世界

 前回の終わりに、「メジャーでなければシナリオライターは底辺」と書きました。趣味で書いてる分にはいいと思うんです。けれど、プロとして作品を世に問うなら、どんどん脚本が作品化、映像化されなければいけないと思うんですよね。しかし、実際にはライターが書いたシナリオは世間の人の目に触れることはまずありませんし、その前にコンクールやコンペに受からなければプロの現場から声がかかることもありません。コンペは大抵企画コンペですからシナリオを書くことさえない。

 ただし、それはフィルターとして必要であることはよくわかるんです。誰でもが何でも書けるわけではありませんから。聞いたこともない自称作家の脚本で映画製作なんて博打過ぎてできませんし、テレビドラマならまずスポンサーが納得しません。しかしそれにしても、年に何回かあるコンクールに受かる為に書いては落ちを繰り返し、スクールの特別クラスにお金を注ぎ込むことを繰り返しても、何年かかってもコンクールに引っかからない現実もあります。もちろん、一発で佳作を取ることもあります。そのどちらもを目の当たりにして、どうやったらチャンスが作れるのか?と考えた時、自分で作品を作ればいいじゃん♪と思ったんです。

映画『たいようのドロップキック』より。

 そこでシナリオ仲間と作ったのが【TEAM 9 NINE】でした。

 自分が書いたシナリオで、自分たちが映像作品を作って発表する。映像に関してはYOUTUBEなどでも公開できるし、発表手段はいくらでもありますから。で、発足した瞬間からお仕事が舞い込んで、気がつくと劇場公開(関西で2館だけですが)になって、NPO法人に持ち込んだ企画が通ってとバタバタと「製作」に入っていった流れで「株式会社 花夢威」を設立するっていう流れになったわけです。

 といって決して順風満帆ではないし、今もギリギリを低空飛行しているんですが、作品製作については【ENTERTAINMENT】であることが大命題だし、その為にも良いシナリオを作ることに妥協しないというモットーでやっています。
 ま、ワタクシゴトはこの辺にしておいて…(^^;;
 そろそろ本題に戻りましょう。そうです。映画のお話です。

 前回では、【原作モノ】という流れについてお話しました。そうです。今公開されている映画を見てください。ほとんどが【原作モノ】であることに気づかれるはずです。確かに大好きなコミック作品が映画館の大画面で実写化される。これにはワクワクします。

 しかし、ちょっとだけ考えてみてください。本当にそれでいいんでしょうか?

 【原作】を提供する小説やコミックというメディアはオリジナルをちゃんと量産していて、映画というメディアではオリジナルを生産しなくてもいいのでしょうか?
 【原作】があれば必要ない?私はそうは思いません。
 よく、原作コミック(小説)があるんだから、脚本とか要らないでしょ?って人がいらっしゃるんですが、いやいやそんな事はありません!脚本というのは台詞だけじゃありません。役者さんの芝居に関わるト書きは照明、音声、衣装、メイクなどのスタッフへの指示でもあります。原作にはそれは書かれていません。だから明確な指示書として脚本というのはとても重要なんです。たとえ原作モノであっても。
 ここで世界の名匠・故 黒澤明の言葉とされるものをご紹介しまししょう。

 【良いシナリオからは良い作品も悪い作品も生まれるが、悪シナリオからは悪い作品しか生まれない】

 という事で次回はオリジナルと原作モノについて考えてみたいと思います。

【お盆と映画☆その3・オリジナルと原作モノへ続く】

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