花夢威映画まつり2022作品紹介②『大きな木になりたい』

アイコンの『いのちの映画と講演会』はすでに終了しております。

花夢威第2弾の作品『大きな木になりたい』は、2つの原作を持っています。

一つは、この予告編でも流れていた楽曲『大きな木になりたい』。
これは非営利活動法人 日本移植支援協会が発行している絵本『大きな木』のテーマソングで
元々は、宮崎出身のシンガーソングライター・香蓮さんが歌われていたものを
支援協会の方が聴いてえほんんおテーマソングに決まりました。

絵本『大きな木』と楽曲『大きな木になりたい』。
全く違う所で制作されたのに、どこか内容がシンクロしている。
そうです。2つ目の原作は、絵本『大きな木』でした。

この作品は日浦が日本移植支援協会の髙橋和子理事長に直接提案して実現しました。

髙橋理事長とは共通の知人を通して知り合い、彼女のパワフルな啓発活動を知り
その問題点を解決する方法として本作品の制作を提案しました。

髙橋理事長は、たった一人で全国津々浦々を飛び回っておられます。
あるいは飛行機で、電車で、車で。
学校、大学、企業と多くの人前で「臓器移植とは」「脳死とは」
そういう事をグラフや表を駆使し、時には絵本や音楽の力を借りて
人々にエネルギッシュに伝えておられます。

私にも経験がありました。

学校に「偉い先生」が来て、「とても大切なこと」を講演していく。
中学生や高校生にはまだピンと来ない話も多く
眠ったり欠伸を連発している友人もたくさんいました。
そもそも参加すらしない輩もいました。
ところが、そんな聴いてもいない筈の「輩」が
感想文を提出すると
「とても為になりました」「すごくいい事だと思いました」「私もそんな事ができる人になりたいと思います」
と途端に《優等生》になりました。

こういう少年少女たちの心にもちゃんと届けるにはどうしたら?

私の出した答えは「ショームービー」で情報を提示しつつ感情に訴えることでした。
簡単にいえば「ドラマ・映画として少年少女たちを物語世界に引き込む」という事でした。

髙橋理事長は、今までに無い取り組みだと評価して下さり
何度かの理事会を経て、制作が決定しました。

そうして制作された『大きな木になりたい』。
私たちはまず絵本『大きな木』と楽曲『大きな木になりたい』の歌詞を読み込みました。
脚本家集団【TEAM 9 NINE】と共に考え練り上げた「ストーリーが以下のものです。

短編映画『大きな木になりたい』《あらすじ》
岡部 樹(たつき)9歳は、スイミングスクールで選手を目指している小学生。ある日、同じスクールに通う川井芽来(めぐる)9歳とプールサイドでぶつかってしまう。彼女は心臓が悪く、心臓移植をするためにドナーが現れるまで水中歩行リハビリをしていた。大人たちが騒然とする中、出会った二人は互いに認め合うようになる。
病状が悪化してプールサイドで倒れてしまう芽来。それ以来、姿を見せない芽来を思い遣る樹は、ドナーの重要性に気づく。
運命の歯車が動き出す時、二人とその家族に選択と決断を迫る。

主役とヒロイン役の子役のオーディションを重ね、
主役の岡部樹役に岡田篤哉、ヒロインの川井芽来役に高谷月姫を選出。
主人公の母親役に全国区のドラマや映画などでも活躍する川上麻衣子さんにオファーをし
ヒロインの母親役に堀本歩美(日本放映プロ)を選出しました。

そうして撮影、編集などの工程を経て花夢威第2作『大きな木になりたい』が完成しました。

この作品は、臓器移植・脳死という難しいテーマに真っ向から取り組んだ作品です。
医療監修には、当時・大阪大学 大学院医学研究科(現・関西メディカル病院)で
先端移植医療の第一人者として活躍しておられる高原史朗先生に担当していただき
ロケ地もご提供頂き、現場での医療監修チェックも含めて大阪医専にご協力いただきました。

そこまでするのは何故か?

嘘のない作品にすることは当然ですが、一番大切なのは
観客に正しい情報を伝えて、正しい判断をしてほしいからです。

作り物だからこそ、大切な部分にはこだわりたかったし
私たちの思いは作り物でないことを伝えたかったからだと思います。

この作品で大事なことは【心の準備のキッカケを作ること】です。

この作品で描かれていることは「絵空事」ではありません。
誰にでも、いつでも起こりうることです。
あなたに起きなかったとしても、
あなたの大切な人には起きるかもしれない「現実」です。
だからこそ、起きた「その時」に考えていては遅いんです。
何度も洗濯を迫られます。その「選択肢」の意味するものが何か?
大切な人が命の境にいるその事実だけでも受け止めることが辛いのに
なお冷静な判断を求められる事が「悲劇」でなくて何なのでしょう?

だから、今互いに互いの意思が確認できる時に
確認しあっておいてほしい。

その答は「YES」でも「NO」でも構いません。
多分どちらを選択しても後悔するかもしれない。
けれど、相手の意思を尊重するのかしないのか?
相手の意思が確認できていれば、その一点だけで済みます。

話が長くなりました。
是非、本作『大きな木になりたい』をキッカケとして
あなたの大切な人と話し合ってみて下さい。

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