『プロミシング・ヤング・ウーマン』は観る価値がある。

アカデミー脚本賞『プロミシング・ヤング・ウーマン』(C)2020 Focus Features

一言でいえば、この映画は【女の復讐劇】です。
いや、正確には【”女たち”の復讐劇】というべきか。

先日、試写会にお呼ばれして観て来たのが『プロミシング・ヤング・ウーマン』。

監督・脚本・製作 エメラルド・フェネル(本作で全米脚本家組合賞を受賞)
エグゼクティブ・プロデューサー キャリー・マリガン(主演・『17歳の肖像』でブレイクした女優)
製作 マーゴット・ロビー(『スーサイド・スクワッド』主演)

この製作者の布陣を見てお分かりになるだろうか?
才媛たちがこの作品に、エメラルド・フェネルの脚本に入れ込んで作り上げたのが
本作『プロミシング・ヤング・ウーマン』な訳だ。

タイトルを直訳すれば「約束された若い女性」となるが
つまりそれは「将来有望な女性」という事で
かつて医大で成績トップ2に位置していた主人公を指している。
しかし、そんな主人公・キャシーは31歳の現在、カフェで店員のアルバイト。
高学歴で将来を嘱望されたはずの彼女がアルバイトである。
そして、彼女は週末になると夜の街に繰り出していた。
「男たち」への復讐を敢行するために。。。

実はフェネルが脚本を執筆する際、キャリー・マリガンをイメージして描いていたという。
つまり「当て書き」だ。
そして、当のキャリーは
『この主人公を他の俳優が演じると思うと不安と怒りがこみ上げてきた』
と語ったという。
そうしてより深く作品に関わるために製作にも名乗りを上げる。

マーゴット・ロビーもまたフェネルの独創的な脚本に惚れ込んだ1人だ。

こうして、エメラルド・フェネルのオリジナル脚本に才媛たちが後押ししつつ
一流のスタッフの協力を得て作り上げられたのが本作だと言える。

さて、作品の感想だが。。。

掛け値なしに面白い!といえる作品だ。
エンターテインメントとして素晴らしい。
スタイリッシュでスリリングでサスペンス要素もあるのに
笑える部分もあり、観客を楽しませてくれる。

何故?と思われる部分が皆無という訳ではない。
何故、10年なの?とか、その結末でいいの?
などを思わないではない。

でも、エンディングを見終わって
受け入れるしかないんだな、と思った。

それこそがエメラルド・フェネルという新しい才能が生み出した世界だから。
新しい才能を是非目撃してほしい。

文・岩崎与夛朗

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA