2020年11月29日(日)大阪ステーションシティシネマ10番スクリーンにて開催された舞台挨拶の模様。

 2020年11月29日(日)、JR大阪駅前にある大阪ステーションシティシネマ10番スクリーンにて映画『佐々木、イン、マイマイン』の監督・出演者による舞台挨拶が開催されました。

 今回、KAMUI ENTERTAINMENT・エンタメ部は『佐々木、イン、マイマイン』応援隊としてマスコミ取材に駆けつけました。

 本来、KAMUI ENTERTAINMENTは製作会社であり、何故マスコミ取材なのか? それは、この令和2年から弊社で【応援部】を立ち上げたことと関係があります。そもそもコロナ禍で、製作も上映イベントなども開催が厳しい中、苦しいのはKAMUI ENTERTAINMENTだけではありません。ならば我々の持つノウハウを活用して店舗の営業支援や広報コンサルタント、映像配信支援などをしようということで【応援部】を始めました。その流れの中でYOUTUBE番組『花夢on MATERIAL】が配信されているのですが、先月のある日、番組の収録スタジオとなっているMovie’s cafe MATERIAL tanimachiでとある映画の試写が行われました。それが『佐々木、イン、マイマイン』の試写でした。

 番組にも出演している弊社提携のシネマコミュニケーター・高橋裕之氏から本作の試写がしたいとの要請があり、MATERIAL tanimachiで試写する事になり、そこに私が同席させて頂いたというものでした。

Copy rihgt by『佐々木、イン、マイマイン』

 正直いって前情報はほぼなく、”割と評価の高い青春映画”という触れ込みだけでした。監督も長編初作品で、出演者もこれから期待される若手の俳優という事だったので、期待するほどの情報がなく、まずは観てみようと思って席につきました。

 果たして映画が始まってみると、予想に反して綺麗な映像が続きすぐに映画の世界観に引き込まれていきました。正直、自主制作上がりの監督の押し付けがましい構図や映像の展開には辟易していたのですが、この作品はそうではなく、しっかりとした構図と空気感を作り上げている作品であることは数分で理解できました。

主人公・悠二(藤原季節)とユキ(萩原みのり)Copy right by 『佐々木、イン、マイマイン』

 何より登場人物が映画の中でちゃんと生きていました。それぞれの人物の背景を感じさせるだけの所作、表情が素晴らしい。28歳のリアルを描き出しつつ、10年前の高校時代の弾けるような瑞々しさの「落差」をしっかりと表現している。

 ストーリー自体が素晴らしかった。ある意味”よくある青春懐古主義礼賛物語の流れ”といえばそうなのですが、この作品にはその枠に収まらない奥の深さと人生がありました。

 主人公・悠二は夢を諦め切れず、現在の自分の状況も受け入れられないでいる”すべての人”です。その悠二の視点から「佐々木」という強烈な光を放ちつつ、自分を鼓舞してくれる存在の影を見つめた時、人は本当に自分がすべきことを見つめ直して走り出すしかない。そんな物語です。

Copy rihgt by 『佐々木、イン、マイマイン』

 大阪の舞台挨拶取材の話を聞いた時、作品世界の「リアル」が少しでも聞けるかもしれないと思いお話をお引き受けさせていただきました。

 少し遅れて始まった舞台挨拶でしたが、終始和やかに進みました。登壇したのは、内山拓也監督、佐々木役・細川岳、ユキ役・萩原みのり、木村役・森優作の4名と司会はプロデューサーの汐田海平氏が担当しました。

 まず登壇者各自が一言ずつ挨拶し、そこから司会からの質問に答えていく形になりました。

 最初の挨拶からわかったことは、この物語『佐々木、イン、マイマイン』の「佐々木」にはモデルが存在するということ。そしてそれは「佐々木」役・細川岳の同級生だということがわかりました。そして、細川岳が思いついたこの物語を内山拓也監督と二人で相談しあいながら脚本を作り上げたということでした。

 話が進むにつれて、この作品を作り上げるにあたって細川岳という役者の存在が大きかったことがわかっていきます。

ユキ役・萩原みのり(左)と佐々木役・細川岳(右)

 ヒロイン・ユキ役の萩原みのりは、別の作品のオーディションで出会った細川の演技に驚き、ずっと意識していたそうで、しかしその時に名前を聞いておらず、後日萩原が主演した作品の舞台挨拶の際、たまたま観客として来ていた細川を捕まえて名前を確認。それからの付き合いであるという。

 その後、本作の企画を進める中、ユキ役には萩原みのりが良いと思い、内山監督と引き合わせたとのことでした。内山監督はすでに萩原みのりの存在は知っていたが、ユキ役の確認の意味で会ったという。

内山拓也監督

 また木村役・森優作と細川岳は大阪市出身で、互いに隣町で育っていたそうで、東京で互いに役者をしながら別の作品で出会った際にそれが判明。その後いい芝居をする役者として付き合っていた。本作の脚本の第一稿が上がった時、内山監督から見せられ、『作品になったらいいね』と言っていたとのこと。その時はまだ「夢の話」でしかなかったそうです。

木村役・森優作

 やがて脚本ができ、プロデューサーが決まり、内山監督と細川が互いの思い、気持ちを形作るように配役が決まっていったという。

 印象的だったのは、この作品に登場する役名は、赤ちゃんの名前ですらすべて意味があって、必ず実在する誰かモデルが存在するということ。そう。この作品は細川岳であり、内山拓也監督の分身なのだ。

 そしてもっといえば、この作品の中に必ず観客自身がどこかに居る。それは悠二かもしれないし、多田かもしれないし、木村かもしれないし、ユキや佐々木かもしれない。佐々木の父や高校の先生、晋平、一ノ瀬、苗村、どこかに自分や自分の近しい人や青春時代の一幕を投影できる作品、それが『佐々木、イン、マイマイン』です。

 関西では、MOVIX京都、大阪ステーションシティシネマ、TOHOシネマズなんば、MOVIX堺、MOVIX八尾、シネリーヴル神戸、TOHOシネマズ西宮OS、ジストシネマ和歌山で12月3日まで上映中。是非、劇場で観ていただきたい作品です。
※各上映館の情報はこちらのリンクから。

 やがて舞台挨拶が終わる。登壇者たちの仲間としての連帯感がすごく印象的な舞台挨拶だった。そして、帰る時ふと気づいた。そうだ。この作品は私たちの分身なのだと。

(文・写真/岩崎与夛朗・KAMUI ENTERTAINMENT)

大阪ステーションシティシネマ10番スクリーン