令和3年3月17日(水)、東大阪市岩田町にあるイコーラムホール(近鉄奈良線・若江岩田駅前 希来里ビル6階)にて【いのちの映画と講演会(東大阪エイフボランタリーネットワーク主催)】が開催されました。
このイベントの始まりは実は一昨年の夏に遡ります。
令和元年夏に東大阪市役所にて特定非営利活動法人 日本移植支援協会・高橋和子理事長から野田義和東大阪市長に臓器移植をテーマにした絵本『大きな木』の贈呈式が行われました。
その時点で短編映画『大きな木になりたい』を完成させていたこともあり、大阪のボランティア代表の1人としてKAMUI ENTERTAINMENT 代表取締役の日浦明大監督も贈呈式に臨席しておりました。
その際、野田市長に短編映画『大きな木になりたい』の上映について、是非東大阪市でも”いのちの大切さ”について考える機会を映画を通じて設けて欲しいとの思いを伝えたところ、すぐに東大阪市健康部から連絡が入り、令和2年3月21日【いのちの映画と講演会】の開催が決定しました。
しかし、新型コロナウイルスの感染拡大を受け、まず開催日程が11月に延期となり、昨年秋からの感染再拡大を受けてさらに令和3年3月17日に延期され、ようやく開催に漕ぎ付けられました。
東大阪市で長年活動されている「東大阪エイフボランタリーネットワーク(草野豊子理事長)」主催の催事のため、冒頭の式典で野田義和東大阪市長が挨拶に立たれました。
命を繋ぐ医療の大切さとそのことについて話し合う重要性について、野田市長は挨拶の中でも述べられました。
ある意味、その思いがあればこそ、この日のイベントが開催されたといえます。
式典が終わり、いよいよ上映が開始される時間となりました。
残念ながら機材トラブルなどがありすんなりと上映とはいきませんでしたが、上映そのものの品質は高く
本作のメッセージは来場者にしっかりと伝わっていることはわかりました。
上映後に開催された講演会パートでは、本作を監督したKAMUI ENTERTAINMENTの日浦明大監督と臓器移植の啓発活動をする特定非営利活動法人 日本移植支援協会の高橋和子理事長によるトークセッションが行われました。
その中で、なぜ映画を製作するに至ったのか、そのいきさつと映画に込めた思いや、臓器移植の現状、特にコロナ禍で失われていく命について事例を含めて紹介されました。
その中でも特に強調されていたのは、「答はYESだけではない」ということでした。
臓器移植にはドナーの存在が欠かせません。そして脳死を前提にしなければ救えない命もあるのも事実です。
そのため、どうしてもドナーカードや臓器提供意思表示へのサインを求める”圧力的な発信”が目立つこともありますが
特に日浦監督はそのことについて否定していました。
あくまでもYESと言って欲しいんじゃないんですね。考えることが大事なんですよ。
この作品の中でも出てきましたけど、お子さんがご両親の知らないところでドナーカードにサインしてたらどうするか?
もちろん、成人されてれば『そういう判断をされたんだな』とまだ納得できるかもしれません。でも未成年だったらどうでしょう?
最終的にはご両親の判断になりますから、もちろんご両親が”NO”とおっしゃれば臓器移植はありません。じゃあ、お子さんの意志はどうなるのか?お子さんの意思を無視してもいいのか?
※【いのちの映画と講演会】トークセンション中、日浦監督の発言より
これを考えるのは物凄く辛いですよね。もちろん、そんなことは起こらないことは大前提ですよ。
でも、もしものことを考えたら、元気な間に、会話できる今、話し合ってれば、
大変な時にする辛い思いを少しでも回避できるかもしれないんですよね。
しかし、とは言っても、『命が大切だ』ということはわかっているからこそ、その話を親子や家族、恋人など、近しい人との間で行うことは気恥ずかしかったりしてなかなかできないのも事実。
でも、元気な時に『あのさ、俺死ぬかもしれへんやんか?』って話するのって無理じゃないですか?
※【いのちの映画と講演会】トークセンション中、日浦監督の発言より
だから、映画を観て『今日観た映画のことやねんけど、どう思う?』って話し合う時のキッカケにして貰えれば物凄く話しやすいと思うんですね。
聴衆は静かに日浦監督と高橋理事長のやり取りに聞き入っていました。
講演会パートの最後に、映画製作のキッカケともなった、日本移植支援協会が制作された絵本『大きな木』を高橋理事長から東大阪エイフボランタリーネットワークへ贈呈されました。
第2部では、歌手の大空美樹さんによるミニコンサートも開催され会場は大いに盛り上がりました。
ここに一つの形が提示されました。
イベント後、こうしたイベントを今後も様々な場所で開催していきたいということで、日浦監督と高橋理事長の間で合意しました。
さらに【いのちの大切さ】について考えるイベントを開催していきたいと思います。
そのパートナーとなる団体・個人からの声をお待ちしたいと思います。